彼氏は無趣味で、会社の人とスロットを打ったり、
たまにお酒を飲んだり、スマホゲームをだらだらやったり、
良くも悪くも最近の20代って感じの人。
手芸とか読書とか、古風というか地味目な事がすきなわたしとは、
価値観があうとこがないなーと思ってた。

最近読んだ本で、男運がない女性主人公が、
ようやくダメ男じゃない普通の男の人と出会うんだけれど、
その人は主人公に全然興味を持ってくれなくって、
主人公はどんどん悪い方へ落ち込んでいって、
最後に家を出てしまうお話があった。

なんだか自分と少しかぶるかもーみたいな話を彼にしたら、
「ああ、『家並みの向こうにある空』だろそれ。あの話俺も好き」
だって。
ええええええええ！ってほんと叫びそうになった。
知ってる人なんてほとんど居ないか、歳を取ってる人だけかと思ってた。
聞いたら彼の両親が小説好きで、
実家を出る前までは暇つぶしに小説を読んでたらしい。

そのあと、
「あのお話じゃないけれど、俺なりに好きだから」
って言われた。
たぶんわたし結婚すると思う。

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※短編集。「家並みのむこうにある空」収録